何か全体的に、BLっぽく見えてしまう





2016年11月5日
私は篠原千絵は、何となくサスペンス系の話の方がいいように思います。どうも、私の中では、「蒼の封印」といい、この作者の、こういう伝奇系の話は、いまいちという感じが強いです。確かに太古の昔から相争う二頭の龍とか、蓮の花が咲き乱れる湖などのイメージは、美しかったり、幻想的でいいなとは思うのですが。そしてまた、相変わらず、ヒロインとヒーローのキャラクターが、いまいち魅力がないような。いつもの、大人しく受け身な感じのヒロイン、そしてとにかくヒロインにベタ惚れの、やたら優しいだけの感じのヒーローというパターンですし。とはいえ、今回のヒーローからは、あまりそういう印象すら、受けませんでしたが。今回はある理由から、六花を愛するあまり、悩んで手を出せなかったということなのでしょうが。六花の見た目も、かなり幼ない感じですし。しかもヒーローは、病弱という設定のせいか、ますます冴えないような感じ。今回も出水とか立夏の脇役カップルの方が、やはりキャラが立っていますね。相変わらず、めでたしめでたし、の主人公カップルは置いておくとして、出水と立夏の末路は、あまりにも虚無感、後味の悪さが残る最後のような感じでした。両雄並び立たずというか、二人の覇者は不要ということで、この二組のカップルが揃って平和的解決という感じに、ならないのはしかたないかなとは思うのですが。しかし、特に立夏が何か哀れですね。しかし、出水が龍という、元々人外の存在であることを考えると、最初から人間の女が捕まえることのできない存在であるのは、しかたないのかなという気もします。途中から人間の世界へと堕ちていった白龍とは、また違うのでしょう。そんな、到底自分のものとすることができない存在を、激しく愛してしまった女性の哀しみということでしょうか?女の恐ろしさと哀れさという、相変わらず、少女漫画としては、重たい感じのメッセージですね。しかし、一番の問題点としては、この作者の作品にしては珍しく、この話が全体的に、そっち方面には関心がない私から見てさえ、すごくBLみたいに見えてしまう感じなのですが。二頭の龍の何か恋にも似た、長い年月のお互いへの強い関心と戦いの前に、女性達の存在は、まるで添物程度の扱いのような。主要人物もたった四人だけで、こじんまりした感じも、拭えないし。そして話自体も、いまいち広がりがない感じの印象を受けてしまいました。

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まるも さん
(女性/40代) 総レビュー数:79件