ギリシア大富豪の哀願
」のレビュー

ギリシア大富豪の哀願

キャサリン・ジョージ/高山繭

正攻法の強さ いつの間にか愛しい人に

ネタバレ
2016年11月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 事件に巻き込まれたりで傷の絶えないヒロインはローカル紙記者。マスコミから姿を隠した若き富豪ドラコス氏を取材することを目的に島の祭りに向かう。まずお母様に気に入られ、島の案内などを通じていつか大切な人になっていった。
彼の元恋人の暴露本が彼のマスコミ遮断の理由。島の所有者は彼。接触の機会に乗じインタビュー申し入れするも島を追い出されそうになっていた。ドラコスの母親によってのチャンスが到来した理由は、ヒロインが、他の彼の周りに居るような女性とは違うタイプであることで好感を持たれた為だった。

隠し事をしないで、記事のために取材に来たことも伝えるなど何かと正攻法で当たるヒロインのやり方に巻き込まれていく彼、ドラコス。
事件発生でヒロインの無事が判らないときドラコスはヒロインへの強い想いを自覚する。

犯人がわかり、捕まえてから、やっといい関係に。
否、犯人を捕まえる前から、ヒロインにとってのドラゴン、アレクセイ・ドラコスは彼女に捕まっていた。「今夜が待ちきれない」、この台詞だけで当作品を読んだ私の作品への期待に応えたも同然だ。
言われたときのヒロインのリアクションは、そういう受け止めかたか、との感想を私は持ったが。
ストーリー前半の警戒心と猜疑心を見せて「踏み込ませなかった」彼が、ヒロインにこうも「踏み込んで」親しみに変わった発言をしてきたことが、ヒロインサイドの同体感覚を味わいながら読み進める私のなかにも、彼の心が踏み込んで来たような錯覚で胸に来るのだ。

ギリシャ神話や、クレタ島など、ギリシャ関連のことが出てくるが、ギリシャをあまり感じなかったのは残念。
もっとも、ハーレクインの舞台にギリシャが多すぎ、描写を意識的に抑制したのかもしれないが。

ほか、参加者を絞っている祭りに潜入出来ている犯人グループのその自在な行動ぶりに、冒頭のチケットはなんだったのだろうとは考えてしまう。
ヒロインとドラコスが心を通わせていくロマンチックシーンに飢える作品だ。
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!