偽りの別れ
」のレビュー

偽りの別れ

リー・ウィルキンソン/松尾しより

信じてあげられなかった 愛されていた

2016年11月27日
信じて欲しかった。恋人になる前とか、尋ねるタイミングももう結婚してたのだから、ちゃんとすべきこと。彼の立場からすればひどすぎる仕打ち。ヒロインだって騙されてた側とはいえ全然可哀想じゃない。

心情的に彼の味方になってしまうため、彼が時々私好みな顔であることがこの星の個数を決めた。彼の失われた時間と失意の日々を思うにつけ、真実が見えたとき、ヒロインは彼にもう少し必要な言葉と態度があるだろうと思うのだ。展開がビジネスの話をしているかの落ち着きぶりに当惑した。

HQでは男性が女性に対して猜疑心を抱くのは多すぎるくらいに多すぎる、ありがちストーリー。
でもこの話は、ヒロインの方が彼を信じあげられなかった。120頁の「信じて欲しかった。言い訳などなくても 証拠などなくても」は胸が痛かった。それを、ヒロインは「悪魔のような男」と断じていたが、ほかの「悪魔のような」(?)行動の描写が無いため、問題の不実の現場しか「悪魔」としているのか判らず大袈裟。
ヒロイン自ら「愛してるフリ」発言で気持ちが存在してないと明示した直後に、相手が「愛してない」と表明されて傷つく流れも、同情できないし、ここまで言い合っていながら、別れてもヒロインの父親の会社に融資?、それは純粋な投資行動でなく、人道的救済なのだとしたら、彼が過去にされたことを考えるとあり得ない。CEOに登り詰める人間なら考えられない。第一、「共同経営者」の処遇はどうなるのか?婚約者のほう、今後も罰を受けることなし、なのか?

終始婚約者をいい人扱いして、義理立て以上に置いてきたのに、クライマックスでいきなり、「思いやりのない人」に。その断定にも、「?」しかない。

このストーリー展開に、ヒロインは「王女」とはなんの関わりを持たない。むしろ、話のなかで、誰がその王女の境遇にあったか、が表されている。

追記:やっぱり星もう一つダウングレードを決意。実はレビュー文章の冒頭、星四つで書き出していたが、読み返して残る感覚があり、見直して、この追記で三つへ変更することをここに記す。
私には読後感にhappyが不足、ストーリー中もloveが私にはストンと来なかった。
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