このレビューはネタバレを含みます▼
中華モノ。
船運業を営む父親が、戦乱の中、天下を手中に収め皇帝となり、公女として後宮深くで生活しているヒロイン。
父親に雇われ、幼い頃から共に過ごしたヒーローは、父親の信頼を得て将軍として兵を率いて各地を回っている。
ヒーローが好きでずっと一緒に居られると思っていたけれども、和平の為、冷酷な王に嫁ぐことになる。
ヒーローは婚礼の準備から護衛までを請け負う。
作家さん曰く、畳の上で死ねそうにないヒーローとのことです。
台詞やお話の流れから、ヒーローの真意は書かれていないものの、ヒロインのことが好きだろうし、結婚をひっくり返す気があるんだろうな~とは感じるのですが…どんな展開になるんだろうとドキドキしながら読み進めました。
ヒロインがすごく良かったという劇の内容が記憶喪失モノなので、王道展開かな?と思ったら、記憶喪失のフリをするんですね。
その辺りもとても緊迫感があり、温和で優し気な雰囲気のヒーローが本性を現し、ガラっと変わるのも良かった~。
ヒーローは、元々の育ちのせいか、ヒロインの父親との関わりのせいか、すごく残忍で、それを隠そうとしないので怖いですね~。
初めて読む作家さんでしたが、情景の描写がとても美しく、お話の世界にどっぷり浸れました。
他の作品を読みたいのですが、分からなくて残念です~。
しっかり作られたお話ですし、仄暗さもあり、後味悪いエンディングで(笑)レーベルファンの方にぜひおススメしたい作品。
イラストは、「目尻の下がった目元はやさしげで、顔立ちはすこぶる端正」というヒーローの雰囲気が上手く出ていてカッコいいんだけど、ちょっと今風な感じかな~。
脳内で再生しきれない部分を絵で見たいので、中華な世界観をもっと出して欲しかったです。