フラッシュバック1
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フラッシュバック1

テリー・ヘリントン/光﨑圭

謎と緊迫のスリリングな展開 出会いと別れ

2016年12月31日
面白かった。
どれ程筆をいれたのだろうと思う緻密な小道具と背景描写と雨降りの様子が、謎と運命的出会いの妙にどこかで根拠を与える。すりガラスの向こうを目を凝らして眺めたストーリーであるかのように、ストーリー設定はファンタジー世界で時空を彷徨う。
好きという感情に理屈は要らない。出会ったときには一目で恋に陥っていた。時間をかけて育てるなんて悠長な恋愛ではなかった。早く、もっと、より深く、一秒でも相手と一緒にいたい、二人のこの気持ちが切ないほど、どうにかならないのかとのもどかしさが読み手のこちらに沸き起こる。

サスベンスタッチでドキドキもあれば、二人のつかの間の時間の切なさ悲しさに胸も痛む。

そして、何とかなるんだよね?との期待いっぱいにシリーズ2に続く。
ミステリアスだけど刹那的な二人の関係が、古ぼけた家の空気、骨董的な時計など古い品々の存在とで、象徴的にヒロインがやっと見つけた本来の居場所に向かう。不安定な関係を確かなものへと、二人の奇妙で戸惑いも隠せない出会いと別れの限界を見せつける。やっと落ち着くことになる物語後半としてのシリーズ2を開くまでこの、シリーズ1は、二つの時間の間を、ヒロインの謎解きに付き合って読者も仄暗い情景をたっぷり味合わされる。

2は、1で翻弄されたその主導権を握れない運命みたいなものからの状況打開に向かうため、トンネルの出口を探す行動をする二人に、変わる。
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