痴人の愛
」のレビュー

痴人の愛

谷崎潤一郎

徹頭徹尾ダメ男

ネタバレ
2017年1月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 幼い女給(お仕着せを着た、キャバ嬢のようなもの)を手に入れた男が堕ちていく話です。
私が初めて読んだのは中学生の頃で、
「お金は大丈夫なの?お母さんは大丈夫なの?仕事は大丈夫なの?」
とずいぶん心配したものでした。
ネタをバラすと、主人公は破滅しません。
なんだかんだとお金を手に入れ、ナオミに貢ぎ続けます。
明治末~大正らしいと言えばそうですが、ここは破産の前兆でも示してほしいなぁ、と大人になった意地悪な私は思います。

主人公が人生を棄てて溺れるナオミは、古いタイプの「ファム・ファタル」。
現代人から見ると、男を狂わせる説得力に欠けるかもしれません。
が、それを差し引いても十二分に面白いので星5つ。
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