王子と小鳥
」のレビュー

王子と小鳥

山中ヒコ

一読の価値あり、オススメです!

ネタバレ
2017年1月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 兄に取り上げられてしまうなら自ら壊してでも渡さない、幼少時に学んだ悲しい知恵。大人になってもその理を覆すことができぬハーリド。
祖父の借金のためタライ回しの末、危ない薬を打たれオークションで売られたスズキが落ち着いた先はハーリドのハーレム。
意地悪で無能な兄にスズキを寄越せと言われたときに初めて密かに逆らう覚悟を決めるハーリド。彼のためにアホ兄の元へ行く覚悟を決めるスズキ。お互いを慈しむ行いに泣かされます。
ハーリドは日本に帰ることを諦めていないスズキの本心を知っていたから「翼」を与えます。窓から投げ捨てても落ちて壊れないよう籠の小鳥に自由という名の翼を。タイトルの意味はそんなふうなのかなと・・・。
○イプもDVもないけど、心の傷の深さと大きさが痛みを知っているふたりの優しさとなり染みてくる。
「王子と小鳥その後」でほのぼのしてますが、過程の辛いことや温かい出来事にはいちいち泣かされました。
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