箱の中
」のレビュー

箱の中

木原音瀬/草間さかえ

星5以上!冤罪で狂う重い人生ドラマ 。

2017年1月23日
<注!:お得な講談社の文庫版は、同じ内容ではない可能性あり。詳しくは下記に>

261ページ、半分以上が表題作+脆弱な詐欺師(後日談書き下ろし)、2タイトル収録。

BLではあるけれど、そう思えないほど読み応えのある重厚なテーマとストーリー。
老若男女、読者層を選ばず魅了される作品で、作者さんらしい素晴らしさを堪能できる。

これ1冊でも読めますが、続編で檻の外があります。
おそらく読んだ方は、絶対、その後の話も読みたくなる!

痴漢の無実を最後まで主張したことで、軽い罰金ではなく最高裁の実刑判決。
冤罪により主人公の人生が大きく変わるところから物語がはじまります。

真っ直ぐな性格だけに身も心もボロボロ。。
不運を回避する術のないやるせない運命に、冤罪の怖さと憤りを感じました。

刑務所内で他人が信じられず、厳しい規律と懲罰を恐れる中での人間模様。
養育環境からか普通の感覚と違う喜多川の、子供のような反応がいじらしく怖かった。

後日談は喜多川出所後の話。
書き下ろしといっても一冊の半分弱のページ数で、ボリュームもあって読み応えのある内容です。
一途さが切なくて、泣きたくなる。。
探偵の矮小さが、普通の人間の等身大な弱さに見えました。

本作だけではBLとしては寂しい展開です。
続刊でもストーリーは重いですが、もう少しBL読者が読んでほっとするシーンもあるので、BL読む方には特に続刊も読んでください!
というより、Holly NOVELS発行の2冊(続刊の檻の外その同時収録の後日談書き下ろしを含む全て)を読んで、本作の人生ドラマの奥深さを堪能できます。

<文庫版について余談・重複購入の注意>
前回、作者さんの有名作美しいことを買うにあたり散々調べましたが、読者投稿で講談社文庫版では(少し?)改稿がある、後日談の収録がない、という情報がありました。
講談社文庫は一般書なので割安にはなりますが、私は元のBL誌掲載文で&後日談も確実に漏れなく全部読みたかったので、作者さんの作品は全てHolly NOVELSで買うことにしました。
本作では講談社文庫との違いは調べてません。

どちらを買うかは、各個人で違いのあるなしに注意して判断されることをオススメします。
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