このレビューはネタバレを含みます▼
穏やかで呑気な時間が流れたかと思うと、唐突に訪れる闇。そんな感じです。
かなりリアルで、程度の重い自傷行為があるので苦手と思われる方、疲れている時にはお勧めしません。
主人公の魚住は類稀な美貌の青年。いつも無表情。不安定な魚住は久留米の前でだけ、安心した様子。
前半はラブはなく、長めの考察のような部分が数回あり、退屈に感じました。
急に危険人物が出てきて主人公を「なぜ兄と一緒に自 殺しなかったのか」などと責める問答がしばらく続き、閉口しました。
終わりの方でようやく、愛の予感に進展あり。
DVを受けてるトランスジェンダーの子。
自分は何者なのか?自分の居場所を探して彷徨う。10代の頃に身に覚えのある考察。ひどく遠くに感じました。
なんで生まれてきたの?なんで生きなきゃいけないの?HIVキャリアでリストカットの女の子。突然訪れる永遠の別れ。
しかもサラサラと流れるように、次々に起こります。
美しく、痛い、痛い、痛い!
そんな物語、もう読みたくなかったのに。
気の置けない仲間との穏やかな時間。
次の瞬間、ぱっくりと口を開ける、魚住を取り込んだ死の闇。狂気。
怖い、怖い!凄く怖かった。
…それを乗り越えた先にあるもの。もう目を反らせない、かけがえのないもの。
感動的なラストではではありましたが、痛いの苦手なので…もう読みたいとは思えませんでした。