リヌッチ家の息子たち Ⅳ 終わらない恋
」のレビュー

リヌッチ家の息子たち Ⅳ 終わらない恋

ルーシー・ゴードン/伊藤悶

ほんの束の間でも美しい光で輝く瞬間が好き

2017年3月4日
カルロのヒロインへのその想いが星数を押し上げした。
相手のどんな要素も彼を挫けさせなかった。ヒロインの嘘以外は。
ヒロインも、彼にひかれる気持ちを抑えきれない。

ただただ、その、運命の人であると感じる人と一緒になることをストーリーの核として、年齢も病も国も、全部に彼は怯むことがない。そこにこの物語の素晴らしさを感じた。

作風は、目が大きくて、しかも、顔の輪郭をはみ出しそう。個性が強い。これはファン層を選んでしまうリスクがあるが、これでいいかもしれないと思う。ただ、学者では期待されない上半身の肉付きではあるが、ティーンエイジャーでも通る幼さが少し気になった。

お母さんの途中の宗旨替えにも、少し戸惑いを感じた。
試し読み段階で、ヒロインの抱えてるものの重苦しさを知り、私は読み通すことは出来るのだろうかと、勇気が湧かず、躊躇していた。此迄避けていた。
しかし、レビュー数333冊を一里塚としているため、やはりこの作品が本当に評価通りなのかを、確認したくなり、今回こそはと踏み切った。薄幸の半生を経てきたヒロインは、HQに沢山描かれているが、この種のストーリー、お涙頂戴になっては後悔したことだろう。
ヒロイン当人が胸を張れる人生で、そして、彼がヒロインの病で逡巡することがないのが、愛する相手に巡り会えたことの素晴らしさを更に讃えている点で、ポイント高い。一瞬一瞬を愛に殉じているようで、ポンペイの恋人同士をダブらせて美しい恋愛のあり方を見させてもらった。

別れの日が来るまで精一杯愛したヒロインの気持ちも理解できた。

ポンペイはポンペイに見える。夕陽をカラー刷りで眺めたかったくらいだ。
邸宅や中庭?は雰囲気がいいし、イタリアにあるかも、という趣が充分滲み出ている。重厚でリッチな感じがサラリとシンプルなのにも拘わらず醸し出しているものがある。
しかし、ナポリは大して描かれたわけではないのに、何故か、何となく違う気がしてしまった。

星は4.5か4.6と思って欲しい。
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