レディ・サラの冒険 セット
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レディ・サラの冒険 セット

ゲイル・ランストーム/津谷さとみ

下町の浮浪児であっても僕は君を愛してる

2017年4月23日
誰であっても、どんな悪い評判が立っていても、どんな過去があろうと、好き、という、私の大好きなパターンの話なので、たっぷりこの二巻物を楽しむことができました。
スリルのある深夜の探索活動、尾行。犯罪発生あり。
ストーリーは巧みに、人々が、社会が、描き分けられ、ロンドンの夜の帳の向こう側と上流階級の狭い社会との間を、メインキャラ二人がハラハラするほど頻繁に行き来します。
女性が社会の中で苦しむ姿は、読み手である現代人の私だって大変よくわかります。

淑女に求められるものと、世の中男性中心で動いていることの歪みで、湧き上がる正義感は、ドラマの中でのヒロインの奮闘が描かれることによって、慰められます。

彼がヒロインの身分も過去も関係なくサラを愛していることが、何より太いストーリーの柱、男らしくて気持ちいい人間像が随所に写し出されます。
ストーリーの面白さで引き込まれます。社交界も下町も描写されるうちに犯罪の闇が浮き彫りに。

甘いだけではないストーリーですが、それを包み込む彼の愛が、実に魅力的。

津谷先生のヒストリカルものの表現力は素晴らしいとまたまた再認識させられました。
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