予期せぬウエディング・ベル Ⅲ 無垢な乙女の変身
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予期せぬウエディング・ベル Ⅲ 無垢な乙女の変身

アンドレア・ローレンス/内田一奈

別れてもなおその後の彼を心配するヒロイン

2017年5月20日
ヒロインはキュート。太目設定が生々しく、私自身の肥満を思い出すためベッドシーンはその肉付きを正視できなかった。よくある形容詞、「健康的」との表現は自然としても、美肌については触覚で確かめられるすべがない。

人気のあるアクション映画スターという設定の彼が私の好みのビジュアルではなかったが、恋人としてのキスの演技や、その演技指導と称する接触シーンは、男性を感じさせる絵だと思った。絵的にムードメイカーというか。

ストーリーにこれはというところがない。
だけれども、ヒロインのキャラが、ひどい言葉を受けて傷ついているばかりという訳でなく、また、相手に怒りを感じている訳でもない。失恋相手の男性のことを案じてさえいるいい子!
仕事も一生懸命やって、その過程でとびきり素敵な処女喪失ができた、そんな想い出に終わってもひとつのストーリーになるとは思えるのだが、HQだから、単なる想い出と片付けて済む話とならず。キッチリ彼にも仕事させた。
スターと恋愛関係になるストーリーはHQには結構あるが、暴露記事の情報提供者について、簡単すぎるオチなのが、少々拍子抜け。

追記:
「運命の女性」という表現に何となく陳腐な響きを感じていたが、「君を『運命の女性』だと/そう直感した/自分のことですら/信じていなかったなんて」との彼自身の心の内の科白が、読み直しの今、私の中に初めて読んだときより入り込んできた。女性の口説き文句としてではなく、彼自身から見てのヒロイン像を表現した言葉として、彼の本音が語られたシーン。

この読み直しで届き直した彼の感情を汲み直し、星は初回評価から一ノッチ上げることにした。

蛇足ながら、序でに言わせてもらうと、この彼の科白、「自分のことですら」、の部分の「で」は、省いていい気がしてならない。
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