孤島の鬼
」のレビュー

孤島の鬼

江戸川乱歩/naked ape

乱歩らしさがあふれている。

ネタバレ
2017年6月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「人でなしの恋」、「幽麗塔」に続き乱歩漫画はこれで三作目になります。長編作の幽麗塔とこの作品は共通点が多いですね。

犯人探し、男色家の登場、お宝、地下の迷路・・・共通点も多いし目的も似てるのに読み終わった後の感想が全然違うのが面白いですね。原作はまだ読んでないので細かいところは分からないのですが、「誰」の視点で読み終わるかで鬼の位置付けが変わるのがこの作品の特筆すべき良い部分だと思います。

主人公の簑浦君は光の差さない洞窟で総白髪になるほどの恐怖を受けました。「鬼」に襲われたからそうなってしまった、という事ですが、私はこの簑浦君もなかなかどうして立派な鬼に見えて仕方ありません。
散々手を握り合ったりし、期待を無駄にさせといて最期まで拒否をする。婚約者の仇を取りに来たのに孤島で別の女性に一目惚れをする。それを傍でずっと見ていたらどんな気持ちになるんでしょうかね。受け入れろ、とまでは言いませんが持ち上げて落とすこのナヨナヨした性格はもう十分に「鬼」と呼んでもいいんじゃないでしょうか。特に、3巻の最後がああだっただけに・・・。
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