船上の花嫁
」のレビュー

船上の花嫁

デボラ・ヘイル/さちみりほ

幸せってなんだっけ?ーふと我に返って感動

2017年6月29日
彼チザムの元へ、差し出された腕に駆け込むときのヒロインの台詞に、このストーリーの中でヒロインがたどり着いたひとつの結論がとても揺るぎなく感じ取れて、この先の二人の光のようなものに思えた。
ヒロインの母親の一生そのものと、遺した言葉とに、それなりの説得力ある故に、ある意味ヒロインは自分で自分の価値観や結婚観をも決めつけてしまっていたわけだが、恋に落ちる相手と「出会ってしまった」とはこういうものだ、という、羨ましいまでの愛が展開。顔じゃなくて、行動が、考え方が、言葉が、ヒロインへの接し方が、それら全てイケメン。
愛こそが全てに優る、を地で行くストーリー。
ドレスを送ってくれるような婚約者は、周囲に見せびらかすために着飾らせる。チザムは、精一杯表現して自分にはなにもないけどこんなにも愛しているんだ、ということをしっかりヒロインに見せて、陶酔しそうな位に積極的に出てきた。
物語らしい究極の選択で呈示したが、その分、そこに至るまでちょっと波瀾万丈のロードムービー的なエピソードが、意外な位に挟み込まれ、ストーリーはみっちり中身が詰まっている。
私はサラサラストーリーよりこういうほうが好きかもしれない。悩みもすれば間違いそうにもなる、危なっかしいかと思えば逞しさも発揮する。お金の力に負けた世の中の多くの女性に愛はあったのかと問いかけているみたいだ。HQ常連のリッチマンでないチザムのプロポーズが響いてくる。

写真結婚や、ネイティブアメリカン登場も、HQの中では珍しくて強いインパクトがあった。
開拓の苦労も、綺麗事ではないという側面がよく伝わりとても良かったと思う。

読書の場面、イケボ設定なのに、漫画は声がないので想像するしかない。
僕を待っているはず、という謎の(?)自信も、二人が過ごした旅の中で自然と生じていた絆を見た感じがして、私も心の中で、そうよ早く現れてあげて、と、思った。
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