魔性の花嫁(1)
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魔性の花嫁(1)

日高七緒/デボラ・シモンズ

粗野で周囲全てに警戒を解かない女を娶る男

2017年7月8日
運の悪い男みたいに、ヒロインと結婚することになった男は同情を買いながら、ヒロインの居城に向かった。
そこは聞きしに勝る荒れ果てた領地と居城。因縁の両家の結婚。相手方の娘は、耳を疑う口汚い言葉と我が身を守ることに全エネルギーを注いでいる女、いや人間とはなかなか認められない、狂暴な動物?だった。

でも、心のどこかでちょっと惹かれるところを互いに感じてしまう。
無視できるほど問題外だった訳ではなかった。

むしろ、こんなに無理強いの婚姻でもその実大変ラッキーだったのだよ、というラストに向かうための途中経過の困難ぶりを、この1巻で見せつける。

それでも、このストーリー、互いにどこかに関心をかき立てられている場面を幾つか提示、そしてヒロインの境遇への想像を進める手がかりをもチラチラ見せて、2巻目に興味を繋がせる。
この点は、同一原作者、同一漫画家の手になる、「尼僧院から来た花嫁」を思わせる。

このストーリーは、ヘレン・ケラーの言葉への目覚めが愛に代わったようなところがあり、また、マイフェアレディのように野性児のごとく生きてきた不幸な境遇にいた女性が、彼との出逢いで変わっていく様を見つめることになる。
ただ、これまでが壮絶だっただけに、そうは簡単に変わってはいかない。希望のひとつは、二人が相手を好ましいと感じる一点。
甘さについては多くないけれど、ヒロインが幸せになれるか、は、ヒロインが警戒を解かなくてはならず、時間をかけ軟化するとき、彼の、ヒロインへの異性としての関心が鍵となっている。

カラーページ多目で、目先が変わっていて、絵を楽しむ私には導入部分の印象が良かったため、購読を決めた。
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