過去結婚式ドタキャンされたヒロインの恋

結婚式ドタキャン経験者のヒロインは、もうこりごりとばかりに仕事に没頭し、そしてHQあるあるの彼の言動に接して、これまたお定まりの「傲慢だわ」と腹をたてる。

ここからは他にない展開で進み、飽きさせないストーリーだが、二人の感情が盛り上がるのがよく見えない。

いきなりキスとか場面場面驚かされたとしても、その背景にある二人の気持ちが伝わりにくい。

口のききかたや行動の裏にあるものへ、納得する繋がりがなくてプツプツ途切れてしまう。

周りの人物はメインキャラのこの二人よりも遥かにまっすぐだ。そして、読み手の私は最後まで斜めななめに付き合わされて、やっと教会シーンに来て話に乗る感じだ。それまで、周りには色々イベントあったけれど、メインキャラ二人は接触の機会はあるものの実質的には膠着。入り口さえウロウロ、という感じだ。

彼のプロポーズ、あれでは気に入らないのはわかるけれど、男性側がとれほど「もらってやるよ」的上から目線であっても、一応路線変更してけじめつけに来てくれているわけで、けちの付け方、なんとかならなかったものなぁと思う。あれに嬉しがるのも嫌だろうけれど、といって、男性にも歩み寄りの態度のあらわれはあったのだから。
ギャラリー的にそこに忸怩たる思いを、お友だちに語らせているが、それでも、あのラストで解消十分とは言いがたい。そこが、これからも何かあるかもなんて、やけにリアルな締め括りになっていいかも、とも考えられるが。

しかしこのサプライズ、私なら戸惑うだけなのに、他のレビューアーさんたち歓迎色で、読んで意外だった。

私は3のつもりでレビューを書き出した。書いているうち、シルビアとか周囲のキャラが強いのと、一人一人にドラマがあることを欲張りに匂わせてもストーリーにメチャクチャ感が少しもないため、プラス0.5で、結果3.5ということにさせて欲しい。

絵も、好きな先生なので読みやすかった一方、さらさら描かれて、リッチな家族とか、冒頭の結婚式の華やかさとか、もっと臨場感があった方が、これほどただの物語の目撃者で終わったような気にならずに済んだかも。私は、よりしっかりと話のなかに遊びに行きたかった。