【シリーズパック】最後の子爵 セット
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【シリーズパック】最後の子爵 セット

デボラ・シモンズ/碧ゆかこ

風変わりな屋敷を相続してー。

2017年7月15日
なにも起こらなかった一夜の過ちの責任を取って、二人は世間体の為だけで結婚した。

着道楽で、遊んでる彼、きれいな姉に引け目をずっと抱いていたヒロイン。ストーリーはロマンス王道で展開。
外見が整っている人が、冴えない(と、当人が思っている)ヒロインに、君はきれいなんだよ、と称賛してくれるこの類いのストーリーは、自分を肯定してくれる存在の出現した幸せを、ヒロインを通じて読み手の自分も分けてもらう気分。その素敵な彼が段々とヒロインに愛情を傾けてくるなかで見せる優しさや紳士ぶりが、碧先生の描かれる雰囲気にはまる。

綺麗で丁寧に描きこまれた絵柄で、そして、荒れた貴族の館の不気味な数々の事件が興味を繋ぐ。
どんなきっかけでも、出逢いがそこにあれば愛に発展する可能性があり、それが、信頼を蓄積し新たな発見をして、そして、互いに幸せを見いだす。この二人の新鮮な館生活、不気味だけれと刺激に満ち相手のよさにどんどん気づかされる過程が楽しい。

ことごとく好みが二人は重ならないが、二人で過ごす時間が、二人にとってどんどん幸せの時間となっていったこと、そのために、数々の不可解な事件があることが二人の協力・結束に結び付いていく。

屋敷、宿屋、使用人雇入れ替え等々前向きに取り組むヒロインと、チャランポランに見えながら、そのチャランポランが、無駄にはなってない彼。結婚で身を固めるというのはまさしくこういうことだろう。

瓢箪から駒で楽しい結婚生活が送れて、謎解きあり、事件ありで、その都度ちょっと妻に興味をそそられていっている彼の描写がかなり気に入った。

邦題、なんとかならないのか。そこは全くもって残念過ぎる点だ。
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