このレビューはネタバレを含みます▼
一気に読破しました。
まず最初は作品のタイトルであり主人公という位置付けにある響。彼女のあまりに常人には理解し難い行動は、しかし一種の憧れを抱く程に真っ直ぐで純粋なもの。実在の人物だとしたらドン引きものですが、こんな頭のネジが外れているような人にまだ遭遇した事が無い私は、「あぁこれが天才なんだな」と妙に納得出来ました。天才と馬鹿は…ってやつですね。響の心理描写が少ない事も、彼女を理解し難く、突拍子の無いものにしている。
幼なじみの彼は漫画のキャラクターとしてはわりと居そうですが、絶対に現実には存在してないタイプかな。そこはご都合主義っぽい。
読み込むうちに共感出来るのは上記の二人以外の登場人物。とくに文芸部部長のリカは、読者が共感しにくいような普通よりも恵まれた環境に育ったけども、その思考はとても共感出来て愛おしいと感じる。頭が良い故にその普通な女の子としての思いをなかなか吐き出せない彼女は高校生としたら随分大人びているけど。比較対象が響であるせいか、リカにはどうも感情移入してしまう。
他に登場する人たちは、響との比較をしてしまうせいかだいぶ普通な人たちのように思える。
何が言いたいのかというと、登場人物が魅力的であるということ。ストーリーはご都合主義な感じがしますが嫌いじゃないです。小説が凄いという読者には伝わりにくい才能を題材にしたのは、私からすれば脳内補完がしやすく成功だったと思います。続き楽しみにしてます。