このレビューはネタバレを含みます▼
そして先輩俳優、脚本家としての矜持もあるだろうけど、理人がいうとおり、俳優伊織ではない、伊織自身を相手にぶつけることの怖さの原因を、家族の問題を起点に、自身が抱える問題まで拡げ、一人で悩む姿は、理人より先に知っている読者としてはとても痛々しい。だんだん伊織が、理人の頑張りの起点がかつての自分にあること、何より理人自身が自分に与えてくれる希望や安心感に喜びを感じ、またそれに慣れることに躊躇う様を読むたびに、今度は理人を応援したくなる歯がゆさも感じる、なかなかドキドキする展開だった。互いに希望と幸福感をもたらす関係は良いな。