わるいこはだあれ?
」のレビュー

わるいこはだあれ?

三崎汐

読みごたえありの短編集4作

ネタバレ
2017年10月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「喪失につき、」
事故にあってからの違和感、喪失感。でもそれが何か思い出せない…。そんな宇野の前に現れた一人の男。無くした物を次々に持って現れる彼は…。無くしたピースがぴったりはまるような瞬間の表現が見事でした。
「喪失につき、渡」描き下ろし 4ページ
宇野が事故にあってからの切ない渡。これを読んでから前作を読み直すとまた一段とぎゅっと切ない気分になります。

「泥中のはちす」
SEの広一と塾講師の蓮は同棲中。そんな広一に見合い話が。蓮は自身の辛い過去の記憶がよみがえってきて…。どうして好きになると非道いことができてしまうのか…。
「がんばれ田倉さん」描き下ろし 2ページ
蓮と同じ塾講師の田倉。蓮に合コンするのに、メンバーを集めろと言ったら…。意外な広一にクスッと笑えます。

「僕は行くよ」
大学生で遊び人の成瀬は、一晩の遊びのつもりで富士をひっかけた。偽りの「好きだよ」を富士は本気にとって…。怖いほどの信じる気持ちにぞくぞくしました。前後編で読みごたえあります。
「僕は行くよ それから」描き下ろし 18ページ
騙された富士と騙した成瀬。嘘じゃない想いは重くてしんどいけど、信じてみたい。一歩踏み出し始めようとする二人の雰囲気にホッとしました。

「とおるの話」
小説家の西山は、バス停で自身の小説のトオルに似ている高校生に出会う。彼の名も透。そして透の境遇や、最近の出来事が小説にそっくりなことに気付き…。三崎先生デビュー作品。凄い!の一言につきます。
「透の話」描き下ろし 3ページ
大人なようで子供の透。二人の甘い雰囲気。
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