本当に愛するということ。様々な愛の形。

作者さんの別作品を読んだことがありますが、エロメインに感じる作品が多かったので、こんな作品も描かれていたのかと驚いてしまいました。
TLと呼ぶには、全然エロくないです。少女漫画として読めます。
でも主人公の女の子視点だけでなく、表紙の男の子2人のその時々に抱える気持ちも描写されているので、普通の少女漫画という感じもしません。3人がそれぞれに主役で、読んでるうちに3人とも好きになって、すごく切なくなる作品だと思います。

それがすごく良かった点でもあるのですが、1番最初がえみり視点オンリーだっただけに、もっとじっくりえみり視点で描いてほしかったなぁという残念な点でもあります。
3巻しか無いので、3ヵ月が経った～とか、次の春が～とか、もうそこまで飛ぶのか…と思うくらいあっさり文章のみで月日が流れることがあったので。

3巻にしてはうまくまとめたと思うし、3巻目では泣いてしまいましたが、なんだかなぁと思う気持ちも拭えません。
どうせならもっと感動させてほしかったというか。
このシナリオしかありえなかった！と思うようなしっくりくるものでもなく、これでよかったのかなぁ…という複雑な気分が個人的には残りました。
ネタバレ見ずに読んでいただきたいので詳しくは言えませんが。とりあえずえみりの元カレがちゃんと逮捕されたのかが気になってます。本当に。笑

興味のある方はとりあえず最後まで読んでみてほしいです。1、2巻だけ読んでどうせこんな感じのストーリーだろうな、と思っている方、特に。
3巻目で、これまで海に依存することしかできなかった紫苑の、前へ踏み出すことのできた姿が見れるので胸が苦しくなります。紫苑が嫌いだった人も、好きになると思います。
そして、3巻目でやっと作者の描きたかったこの作品の形が見えます。あとがきを読んで、なるほど、と思いました。

ただ、本当にハッピーエンドなのかなとか、幸せってなんだろうとか、読んだ人によって色々思うところはあると思います。
それぞれの視点に立って、思うところもあります。
その後のそれぞれの親との関係性とか、トラブルはなかったかなとか、描かれていない暗い部分まで個人的には心配してしまいます…。

でもきっと、作者や、登場人物3人にとって、ハッピーエンドなんだろうなと思える作品でした。
私も彼らに幸せな気持ちでいてほしいので、ハッピーエンドだと思うことにします。