今宵、桜は蜜の色~吉原恋歌~【マイクロ】
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今宵、桜は蜜の色~吉原恋歌~【マイクロ】

成海柚希

土台は良いのに、イマイチな組み立て。

ネタバレ
2017年12月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ ストーリー設定は凄く好みで、それなりに楽しめたのですが、もう一歩…というような、毎話楽しいのと同時に残念感も伴う惜しい作品です。

まず、展開が早い。もう少しじっくり練り込んで描けなかったのか。
明星様は魅力的なキャラクターだから、主人公が惹き込まれるままに好きになってしまった気持ちは分かるのですが、あまりにもあっさりだなぁ、と。

ネタバレですが
主人公の桜子、最初は滋様に会いたい、会うために仕方なく…と明星を嫌ったり、利用しようとしていたくせに、いざ明星にお願いして滋様に会わせてもらった主人公は「あれ?私、明星様の事好きになってたんだ」と気付き、今度はまるで滋様を邪魔に感じているような扱いになります。

さくさくと物語が進むせいで、主人公の心変わりが早く、あんまりだなぁという印象を持ちました。
好きな人が変わってしまったものは仕方ないけど、あんなに滋様滋様言っていた為に、心もイケメンの明星様は身を引こうとしてくれたし、滋の方もラブラブだった桜子と再会できた!って、目一杯幸せにしようとお金に糸目を付けず即身請けすると言い出してくれたほど、桜子を愛し優しくしてくれたのに。
主人公があまりにもあっさり心変わりしたせいでこんな展開になったとしか思えません。
そのせいで、明星様、こんな子のどこがいいんですか?と、読むほどに疑問が止まりません。

読者が、これは好きになっても仕方ない展開だなと納得できるほど、明星との恋を育むシーンをじっくり描いて欲しかったです。
女郎と遊び飽きてるほどの男が、主人公に一目惚れでしたで片付けられても…信じれないです。感情移入できない。
そんな男が何故主人公でなくてはならなかったのか。また、愛する婚約者がいたにも関わらず別の男に惚れるほど、主人公も明星のどこが良かったのかを描いてほしかったです。

あと、滋が普通に良い奴で、主人公の心が離れるとヤンデレ化も、なんだかなぁと思いました。
それなら最初から、女郎落ちした途端主人公に興味を無くすような最低野郎に描いてくれた方が、滋に傷付けられた桜子を、友人を切り捨ててでも選んでくれる明星、なんて素敵な展開になって良かったのでは…と思います。

それと…4巻目で終われば良かったのに、まだ新キャラ出すのか。エロ作品のわりにエロ描写をしない(できない?)作者さんなので、イマイチその方面でも楽しめないです。
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