裏切られたプリンセス
」のレビュー

裏切られたプリンセス

黒川あづさ/ローラ・ライト

積年の恨みは筋違いのもの

ネタバレ
2018年2月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 好きになってはならない憎しみの対象とすべき相手。
出逢ったときから互いに忘れられない人だった。
また会いたいと思ってしまうし、会えば時の経つのも忘れて過ごす人。
彼の父から愛を得られなかった悲しい幼少期の記憶が読んでいて辛かった。それでもなお親を乞う哀しさ。その頃を描写する涙の過去の箇所はふたつあり、痛ましくていじらしくて、彼の人生が今如何に女にモテようとも寂しいし空しかったろうと同情一杯になる。

ヒロインはこのストーリーのなかでは突然の人生の転換期ではあるものの、彼のような背負いきれぬプレッシャーに押さえ込まれているわけではない。
ヒロインは身内に反対されようと、王族の一員との立場も彼の前で振りかざすことなく、ただ彼を愛した。
このストーリー、ほぼ全てが彼の一人相撲。でも、仕方がない。そんな風になってしまったは父親の歪んだ養育方法によるもの。主人公はこっちだろう、と思った。

絵は劇画調。硬派な描線が大人コミックを思わせ、そこに王族で中東ものというHQ仕立て。中東設定の必然性はとても薄い。
王族という身分も展開にキーファクターとしては活用されていない。

死後もクソ親父だった人物が許せない。主人公サイドの寛大さが引き立った。
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