辛い時期を越えて

シリーズもので、このヒロインはむごい事をする非道の父親の最大の被害者と分かっていたから、その彼女がヒロインの話と知って、幸せになれるところを見られる事を楽しみに頁を開いた。
ご多分に洩れず彼女も、かつて演じさせられた姿に引きづられる。忘れたい彼女を苦しめる。

ブラジル、アマゾン、開発、地域住民支援、中身は掘り下げようによっては濃くなる意欲的なストーリー。
自分でも調べようと行動する彼には好感持てる。
かつての因縁の事件現場の状況と、彼女の評判からは彼が被った痛手が生半可なものではなかった事実と、関わり合いは偶然にしか過ぎなかったこととが、この話にやすやすとラブスイッチを見せつけないが、それでも出逢いの当初から決まっていたように再び出逢い、相手を本当に知っていく、というロードムービー的な要素に効いてくる。

HQ史上最悪部類に入る鬼父親の断罪が白日のもとに、というのはスッキリだが、為に姉妹が最後のもう一回傷つくのは避けられない。そこを描かずにはいられなくても、ほどほどに済ませ、あの父親が制裁を受ける最後に、もっと本当の自由を、世間の評判からの解放からも味わいたかった。姉妹のもう一方の片割れの描写を、シリーズとして付き合った身としては。