悪魔で候
」のレビュー

悪魔で候

高梨みつば

何度でも読み返したくなる‼︎

2018年4月1日
私がこの作品を初めて読んだのは、かれこれ15年以上前になるだろうか。当時、一気にどハマりしてしまい単行本を全巻買い揃え、何度も何度も読み返した。
そして今もこうして電子コミック版を購入し、また何度も何度も読み返している次第である。
『悪魔で候』やはり、この世界観が大好きである。
ストーリーそして登場人物などの設定はやや古典的ではあるが、それを感じさせない、というか、そんなものを飛び越えて物語にグッと引き込ませてくれるのは、物語全体から発せられるイキイキとした、またはキラキラとも言えよう“躍動感”である。
主人公は勿論のこと端役に至るまで、きちんと人物設定が設けられており、その一人一人がまさにイキイキと立ち回ることでストーリーに厚みが生まれている。
そして物語は、ある一点のクライマックスに向かって進んでいくのだが、そこへの向かい方、持っていき方が読んでいて本当に気持ち良い。
前述した通り、古典的、言い換えれば王道なのだが、少女漫画を血肉として生きてきた私にとって、この王道パターンを踏襲したクライマックスシーンでは「ああ!これだよ、これ!これを求めていた‼︎」と、大興奮してしまった。
恐らく私は、その大興奮の気持ちを味わいたくて何度も読み返してしまうのだろう。そして何度読み返しても毎回同じように大興奮できてしまうのは、やはりこの物語の厚みにあると思う。
一コマ一コマにぎっしりと様々な感情や、そこに流れる空気感がきちんと盛り込まれている。だからと言って決して重苦しいものではなく、躍動感あるストーリー展開のおかげで、次の一コマを読みたくてウズウズしてしまうのだ。
よって、何度でも同じように大興奮できてしまうのだろう。
そして何より、どのシーンもだが、特にクライマックスシーンなどでは、いかにも高梨みつば先生が描きたくて描きたくて描いているんだな、ああ、他の誰よりも高梨みつば先生が一番に楽しんで描いているな、というのが紙面(画面?)からビンビン伝わってくるところが、読んでいてよく分かる。
だからこそ生まれる“躍動感”なのだろう。他の誰あろう高梨みつば先生ご本人が躍動しているからこそ、読み手もそれを体感できるのだと痛感した。
そこに高梨みつば先生の卓越した画力が相まって、本当に素晴らしい作品になっていると思う。
私はきっとまた読み返すだろう。何度でも、何度でも。
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