このレビューはネタバレを含みます▼
前作同様、女性にとって痛いところを突っ込んでくるなと。安野先生の鬼才っぷりにただただ関心するばかりです。
シゲタは、恋愛や結婚の一般的なルールを無視して自分ルールで恋愛至上主義で挑みます。一方のタカハシは一般路線で生きてるんですよね。人の価値観の中で、正しいとされる道を踏み外さず生きてきた故、自分が本当は何者なのかを知らない。自由に生きてるシゲタを羨ましい、と思ったんじゃないでしょうか。
でも結婚してから、シゲタは変わってしまった。三食昼寝付きのぐうたら人生を手放したくなくて、結婚したら浮気はしないものという、タカハシのような人生を生きることになった。
一方のタカハシも、シゲタ同様、ハッピー・マニアだったんですよね。自分のことなんか好きじゃなさそうなシゲタが幸せをもたらしてくれると思っていたし。でもタカハシは、シゲタを尊敬したり信じたり育てることを生活の中で放棄したんだと思います。苔しか育てられないと思ったから、理想の子育てをしてくれなそうだから、子供を作らなかったんでしょうし。タカハシもきついことしてきたなと思います。で、最後に自分かわいさで、歳を取ったシゲタを裏切ったし。
シゲタもタカハシも、本質的な部分が似ているんですよね。でも月日が重なれば、いつかお互いを尊敬し、大切にできるようになる日が来るのではないかと思います。それが再び結婚という形に落ち着くのかどうかはわからないんですが。