このレビューはネタバレを含みます▼
カラーマンガで読みやすく、やさしい語り口ながら、深い思いが込められている一冊でした。
先生の日常や家族とのやりとりがユーモアたっぷりに描かれ、心がぽかぽかと温かくなります。とくに、若いころに描かれた風景画や知らなかった作品の数々にふれられたのが楽しく、水木先生の新たな一面を知ることができました。
そんな和やかな空気の中でも、先生はやはり、戦争の記憶を語らずにはいられなかったのだと思います。
わずか数ページであっても、その体験の重みはずっしりと心に残り、教科書では学べない大切なことを伝えてくれました。
読み終えて、先生が暮らした調布の街をまた歩いてみたくなりました。
妖怪たちと一緒に、先生の思い出がどこかに生きづいている気がして、深大寺や野川に行くと、水木先生を感じられることができて楽しいです。
お嬢様の文章も、あたたかく優しい言葉で綴られていて、水木家のやさしさが代々受け継がれているのだと胸がいっぱいになりました。
水木先生の人生は、豊かで、まっすぐだったと感じます。
わたしも自分の「日々」を丁寧に生きなければと思いました。