うっかり陛下の子を妊娠してしまいました~王妃ベルタの肖像~【分冊版】
西野向日葵(富士見L文庫/KADOKAWA刊)/田中文
このレビューはネタバレを含みます▼
すごくきちんと作られていて、とてもしっかりした良作なのにタイトルで損をしていると思います。
第二妃である主人公のベルタがとても賢く強く、好感が持てる。自分の置かれた愛のない結婚や不等な扱いにも折れない強さに、読んでいてとても惹かれる。
対して、陛下が…煮え切らなさにイライラ。
正妃は歪んでいるけれど、歪んだ価値観の中で育てられ、何度も死産を繰り返して、挙げ句他の妃を娶って自分が成しえなかった子をなしたら、それは歪むよね、とも思いました。
陛下とベルタのハッピーエンドを見たいけれど、正妃に生涯君を愛する的な事を誓い、何度も自分の子を成しても死産、の度苦しんだ正妃を捨ててベルタを好きになったのでベルタとハッピーに!となっても、それではなんだかとても説得力のない男だなと。
決して望む結末ではないですが、終生愛してるらしい正妃への愛をいっそ貫いてくれた方が、まだ陛下への好感が持てそうです。
ベルタと、納得のいくようなハッピーエンドにたどり着いてくれたら嬉しいな。