このレビューはネタバレを含みます▼
人を好きになる気持ちの、なんと美しく尊いことか。BLという枠を超えた傑作だと思います。
純白に完成された作品にただひとつ、ポツンと垂らされたシミのように感じたのが、ラストのベールです。
女性のベールを、なぜ彼らが纏うのか?
彼らは男女の性別を超えた結びつきでたどり着いたはずで、女性になりたいとか、女性らしくとは望んでないはずなのに…違和感を禁じ得ませんでした。
それでも何度も読み返すうちに、ベールを女性的と固定概念に囚われてるのは私の方であることに、ふと気付きました。男同士の結婚なんだからベールなんておかしい…、結婚するなら男女でないと…、結婚したなら子どもを生まないと…、こうした固定概念こそが彼らの真っ白な世界に落ちたシミなのかもしれない。
男同士であろうと、法的に結婚できなかろうと、子どもを生めなかろうと、親の理解を得られなかろうとも、彼ららしい人生を選択できたことこそが尊く美しいのだから、ベールもまた彼らの選択として素晴らしいのだと、私は思うことにしました。