十億のアレ。~吉原いちの花魁~【描き下ろしおまけ付き特装版】
宇月あい
期待はずれ。時代錯誤で矛盾だらけの世界観
ネタバレ
このレビューはネタバレを含みます▼
設定のインパクトだけで押し切ろうとしている、なんちゃって遊郭のよくある恋愛ものです。
ストーリーは2巻で失速するし、世界観も矛盾だらけ。
完全に出オチです。わかりやすく期待はずれでした。
大人向け作品としては内容が薄っぺらく、大衆向け漫画としてはテーマが過激で人を選ぶ。
どっちつかずで中途半端です。
大人にも学生にもおすすめできない。
主人公のアザミは天性の男嫌いという設定なのに、糀谷という客に一目惚れするわ、糀谷がダメとわかったら風俗スタッフの男に心変わりするわ。
身近な男性にちょっと優しくされたらすぐ好きになるチョロい女です。
仕事ができず、周りに迷惑ばかりかけるくせに、口だけは一丁前の主人公にイライラします。
こんな小娘が吉原No.1の花魁候補?10億の価値がある女?いくら顔が良くてもこの性格じゃ無理でしょ。と、何度も首を傾げました。
2巻まで読んで水揚げ=遊郭デビューすらまだです。
さすがに飽きてきます。
仮にも現代日本で水商売を扱う作品なのに、リアリティの欠片もない。
現吉原から逃げ出した遊女は殺され、脱走の手助けをした男は拷問の末に目を抉られる世界観で、現代日本ですって言われてもなんの説得力もない。
普通に江戸時代の吉原でよかったのでは?
なんで現代日本なの?
そもそも身売りされた主人公、訳も分からず書類にサインして、数千万円の親の借金を肩代わりさせられて、それを強制的に体売って返させるのが、合法の社会です。
警察は機能していないんですかね?
読めば読むほどリアリティが薄れ、作品に没入できなくなっていきます。
過激で人を選ぶ作品なのに、やたらプッシュされているのもよくないと思います。
ホストの売り掛けや立ちんぼなどが社会問題になっているにも関わらず、現代版吉原と謳って、風俗街を華やかで素敵な世界であるかのように描写しているのも、なんだかなぁと思います。
時代錯誤だな、と。
若い女性の人身売買が、お偉いさんの金と権力で合法化された世界。
人によってはかなり不快になる作品だと思います。
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