Lvb12さん

これは一体どこの国の話だ？　フツーのヤクザと変な財閥の話かと思ったら、機関銃まで使うような過激な組織が出てきた。伝説のレッドダイヤモンドをめぐって相争うらしい。漫画か？⋯漫画だった。あんまりな設定のようにも思えるけれど、キャラがとにかく可愛い。貧しくてちょっとマヌケだけど善人の受けと、リッチでカッコいいのに家族関係で不幸な攻めって、定番とはいえ定番こそ間違いなく楽しめるというもの。孤独なワガママギャルや、イケてる天才ハッカーや、キャラがもうそれこそ色々入り乱れてみんなチャーミング。死んだと思っていた兄まで出てきて、この先一体どうなることか。目が離せません。

四十余話まで、どうか諦めないで読んでみて下さい。初めのうちは世界設定が飲み込みにくく、登場人物もみんな不可解、不条理劇の世界に踏み迷った心地でした。あんまりにも現実感がないので、主人公の頭の中だけの話だった、とかいう結末を懸念していました。絵が綺麗で親しみやすく、主人公が素直で可愛く、普通に感情移入できるところがあったので読み進められた感じです。ところが四十話あたりで二人の過去が明らかになってくれば、不思議に思えた世界も魅力に転じます。あとはその魅力に捕らえられて没入するだけです。

登場人物がみんな美人。絵が上手いからだけど、ナイーヴな王子様タイプながら貧しい配達人と黒短髪三白眼やり手のリッチマン、主役の二人が素敵すぎる！　二人とも基本的に真面目で思いやりがあってスマート。それぞれに深刻な事情を抱えた彼らの背景も丁寧に描かれていて、進展の遅いこと遅いこと、38巻辺りまでジレジレとゆっくりたっぷり楽しめます。さてそこからあっと驚く役割分担。腐女心躍る展開だけど、ハッピーエンドまではまだ遠い感じ。しばらくはジレジレニヨニヨ気が揉めそうです。…アンハッピーエンドだったらどうしよう(・・;)

実直で有能な超鈍感無自覚タラシの警備団長と、チャラいふりして実は一途なスパダリ皇太子のコンビがチャーミングでハマりました。超鈍感のすっとぼけぶりがハンパなくて笑えた〜。その分スパダリが切ないのよね。
19世紀末ロンドンを思わせる背景と、連続殺人事件を真面目に捜査してゆく展開があってこそ引き立つラブロマンス、　楽しませて頂きました。