このレビューはネタバレを含みます▼
大きなドラマのない本当に平凡な日常の中に生きる思春期の少女の物語。
自分よりシビアな現実世界を生きる少女との出会いと交流を通じて、主人公の視界は広がった。ただそれだけなのだが、そんな些細なことでも思春期にとっては衝撃的なことであり、日常的な世界の中で鮮烈に描かれている。
精緻な言葉をふわりふわりと紡ぐ転校生が見せた弱みに対し、励ます主人公が自身の言葉の力不足ん自覚し歯痒さを噛み締めるシーンなどはひたすらにリアルだった。
思春期の自分にはかなり刺さった。
年月を経た私がこの作品と再会でき、あの頃の感情を想起できた幸運に感謝したい。願わくば、私がこの作品と再会できたように主人公と転校生も再会してほしい、と月並みな思いすらも抱いてしまった。
本当に、読めて良かった。