このレビューはネタバレを含みます▼
ちーちゃんは確かに足りない子です。頭が悪く、要領も悪く、精神的に子供で、真っ当な倫理観もない。でも彼女には人に頼る能力と、人から愛される素直さがあります。彼女はおそらく、これからの環境においても、持ち前の愛嬌で助けられて、なんやかんやで足りないなりに生きていけるんだと思います。
おそらくこの物語において、本当に足りないのはナツなのでしょう。彼女は少しばかりプライドが高く、ちーちゃんのように人に泣きつくことができません。人から愛される素直さもありません。きっと彼女は、このままずるずると誰からも助けられないまま生きていくのだと思います。
ちーちゃんには結局のところ、旭や藤岡といった存在がいます。でもナツにはちーちゃんしかいません。物語のラストシーンは、ナツに寄り添うちーちゃんの姿で締められますが、これは本当にハッピーエンドと言えるのでしょうか。二人の関係はもはや友情ではなく、ナツの一方的な依存なのではないでしょうか。
足りないとはなにか。友情とはなにか。そういったところも含めて、非常に考えさせられる作品でした。