このレビューはネタバレを含みます▼
ジャンルとしてはよくある令嬢逆行モノ。
理不尽に処刑された主人公が過去に戻って残酷な運命を回避しようと奔走する……のだが、この主人公、マジでなんも知らない。
同系統の作品だと大抵の場合、死に戻り前に見知った情報を頼りに大きな事件を未然に防いだり、周回で研鑽した知恵や技術で悪党に一泡吹かせたりするわけなのだが、そういった活躍がほぼない。なんも知らない温室育ちだから。
怪物皇帝の情操教育以外に関しては基本御荷物主人公といっても過言ではないと思う。作中でも度々役立たず判定されてる。なんなら主人公の介入で怪物皇帝が実質弱体化してるし。
なので、主人公のスマートな活躍を観てスカッとしたい方々には合わないかもしれない。
個人的にこの作品の見処は、何も知らない主人公と一緒に何故主人公が処刑されるに至ったのか、怪物皇帝はどのようにして生まれたのか等の謎を紐解いていく部分にあると思う。これが本当に面白い。
過程で暴かれていく人物達の裏の顔や、憎悪の対象でしかなかった怪物皇帝に対する感情の変化、そして主人公が介入したことによる帝位の行方など気になるところが多くてどんどん続きが読みたくなる良作。
翻訳が若干怪しいのはご愛嬌。
個人的には初期三人組が推しなのでどうにか幸せになってほしい。