死神にだって、愛はある。
泉ウラタ/吉田真侑子/ThirtyAndAHalfMinutes(bySnippyMJ)
このレビューはネタバレを含みます▼
100人いれば100通りの終焉がある。
後悔せずに逝けるひとはいるだろうか。
生きていれば消えてなくなりたいと思うことは幾度もある。
例えば本当にこの世を去ってしまったら。
そんなときにもしも誰かが手を差し延べてくれたなら。
それがたとえ死神であったとしてもすがってしまうかもしれない、わたしは。
この物語のなかでは実際に消え行くひとびとが描かれている。
短編でも、全てがそれぞれによくまとめられ、切ない終わり方でも読み手に苦渋の納得を受け止めさせる何かを訴えかけてくる。
ここに載っていないだけで、幾通りもあるだろう那由多の数の終焉を垣間見せる。
誰かの心残りを晴らす物語に終わりは無い。
ひとつひとつに魂のこもったストーリーに飽くことはない。
寂しさと哀しさを抱えているひとには静かに響く、滴る涙のしずくが奏でる万人がいつか行く道のメロディラインです。
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