このレビューはネタバレを含みます▼
戦争ものに興味があり、同作者さんの他作品がとても強烈で心を鷲掴みにされましたので、同じ題材のこちらも購入しました。
↓以下ネタバレを含みます。
主人公は元諜報員らしいが、話の中でそれが生きる事もなく…。元諜報員が無双してる、言い過ぎだけどなろう系って感じ。
ヤクザと朝鮮のマフィア、日本の警察相手に一人で大立ち回りをして大団円になったのは少しご都合主義すぎるなと思いました。
兼吉が孤児院に入れられた時も、自力で脱走すると決意し、その通りになったは良いが何度も何度も捕まっていたのに一体どうやって逃げ出したのか…。逃げても追いかける言ってたのに追いかけてないし。
酷い内情だった孤児院もそのままだし…。
最後でご都合展開になるなら、その孤児院も正して良かったのでは。
一巻は読切含め面白かったのにそれ以降の話がちょっと雑というか、放り投げが多かったような。
あと、一番の不満点がとにかく兼吉と金井田の関係やバックボーンが描かれない…!
金井田は何故諜報部員になったの…!
それに、結局は兼吉が金井田に懐いてるのって、ただ強いからだと思うんですよね。悪い奴を倒してくれる強いおじさん。そういう武力的な憧れ。最初から最終話の時点までそうだと思います。
金井田も、別に兼吉自身を救いたい訳では無く、同情心と、ただ子どもは宝で守るべきものだから側にいるだけ。
そこからどうお互いがお互いを見つめ、理解するとまではいかないが分かっていくか、人間性を信頼していくか。
そこら辺が描かれておらず、話が進むにつれ二人は個々で行動し、何故か話や登場人物が広がりすぎて二人の関係性や、兼吉の精神的な成長が疎かになり、タイトルにも書きましたがただ戦後が舞台の勧善懲悪モノになってしまっている気がします。
無理矢理ねじ込んでもらったという一巻の読み切りで出てきた西原がまさか本編に登場するとは思わずとてもびっくりしました。
しかし何故今日子は西原に傾いたのか…!
硫黄島の生き残りである西原に、同じ戦場に送られた旦那が生きているかもと希望を持ったのに。
然程時間もたっていない、訃報が届いたわけでもないのに。西原に旦那を重ねて、支えていきたいと思ったからまだしも。
それはもう旦那が死んでいると思ったと同然なのでは。
まだありますが文字数が限界。
とにかく兼吉と金井田の話をください。