このレビューはネタバレを含みます▼
これは男性には少しわかりづらいかもしれませんが、バストの発育が早い女子は10歳くらいで体育に躓くんですよ。見た目に恥ずかしいだけでなく、痛みも伴うのでみんなと同じように動けない。そして、それがより悪目立ちして余計に恥ずかしいという悪循環。
思春期にも入っていない子供の性に対して一昔前までは危機感の薄い親も多く、発育の早い女子でもきちんとした下着を用意して貰えることがなかったというのも背景としてあるかと思います。
スモウちゃんは、そういった「クラスに一人はいた子」というリアリティを持った主人公像で、何も誇張して描いていないというのがこの作品のすごいところ。
短編だから物足りない、という人もいるかとは思うけど、これ以上の事件や、解決など明確な動きを描いてしまうとリアリティに欠けるのかなと感じました。ということで、完成度の高い短編です。
スモウちゃん本人がされたことの問題を理解するのは数年後だろうし、学校や両親が問題に気付くことはないだろうし、一組の先生にも出来ることはないだろうし。
そして何より、生徒をあだ名で呼ぶ先生は、陽キャからの人気はあるけどクソ教師ってのがめちゃくちゃリアル!スモウちゃんっていう変った名前に対する読者の違和感をきれいに回収する納得のラストです。