このレビューはネタバレを含みます▼
家父長制、田舎特有の封鎖的空間、アダルトチルドレン、カジュアル過ぎる性売買、ヘイトスピーチ、学生運動etc...。しかしそれら全て引っくるめて多様性であり、現代の「多様性を迎合しよう」とする働きは令和という時代に忖度したハリボテであり現代日本の世界へ対するキラキラコーティングされた展示品でしかなく、民心の荒廃は社会で周縁化された者へと向けられる事が如実に描かれていました。
BLの醍醐味であるエロもありますが、フレンチのメインは肉ではなく会話である様にマイクロアグレッションからの脱却がメインで寧ろエロこそが救いである様な気がしました。
大人の都合に振り回されてトラウマを抱えたまま大人になってしまった大門や小島、岩倉の表向きは普通の人を演じるしか自身を守り正当化するしかなかった事へ対するアンチテーゼがオーナーの「家族も社会も法律も君たちを祝福はしない」という言葉なら(本作では別のニュアンス)大門の「さあ分かりません。だから助けが必要なんです」がアンサーなのだと思いました。
読後はゴールの見えない道のりを完走しきった達成感があって素晴らしい作品でした。