双子葉類さん

りあちゃんのずば抜けた『カワイイ』に対する執着心とぶっ飛んだ距離感と行動力に、ついついタジタジになりながら流されてしまうはるひちゃん……
ストーリー展開的に｢りあちゃんちょっと強引では？｣と思いましたが、我が強すぎて昼の世界では生きづらそうなりあちゃんなら仕方ないかと、謎の説得力がありました。
また経緯は珍しいにしろ、優しい家族がいるにも関わらず、コンプレックスとお金で苦しんでいる真面目なはるひちゃんが夜の街に沈んでいく不穏さは、観ていて胸が締め付けられそうでした。

常にピンクのネオンが可愛らしく夜を照らしているのが印象的で、りあちゃんには夜の街はこう見えているのかなとこちらまでふわふわした気持ちになる、酔える作品です。
百合好きにもオススメしたいです。

この方の描く眼鏡っ娘(メガネ男子)が好きなのと、屋上の柵が牢獄のように描かれた表紙に心奪われて買って読みました。
みんながみんな思いどおりにいかない空虚な感覚と、それでも広がる清々しい青い空の対比に、じれったく切ない気持ちになりました。
美女と野獣じゃないけど、影がある美しい女性と冴えないけれど優しさが取り柄の少年の組み合わせが好きなので、同じ趣味の方にはオススメです。あと幼馴染の切ない恋萌えの方にも。

余談ですが、表紙カバーを外した時の小話に癒されました。