このレビューはネタバレを含みます▼
乳ガンでおなくなりになられた霊能者・斎さんの最新刊です。今回も示唆にとんだ内容で、生前の斎さんのお人柄はこうだったんだろうなと、思わせられるお話ばかりでした。タイトルにもある「水子」と「お稲荷様」の話が興味深かったです。斎さんから霊能力の高さを見出だされた女性の話も良かったです。
当初の斎シリーズより、勢いがすこし抑えられた感じでしたが、どの話も斎さんの言葉に感じ入ります。見えない世界を扱う斎さんですが、至って普通のことを言われています。だが、この普通を言える大人が一体どれほどいるのか。まして、霊能者ときたらどれだけの人が「ちゃんと霊能力があって」かつ、人を助けようとしているのか?考えさせられます。
小林薫先生の筆力で、非常に魅力的なキャラクターとされていますが、生前にご本人がおっしゃっていたとおり、「上(天界?)が霊能力で儲けさせないようにしている」ので、キャラクター造形に手を加えられていたとのこと。なるほど~と思わせられました。
なんとなく小林薫先生が寂しそうな印象が残る巻でした。