このレビューはネタバレを含みます▼
両親が読んでいた影響で私も子どもの頃から読んでいました。私にとってすごく思い入れの強い作品です。
映画の印象が強い方にはぜひ読んでいただきたいです。まったく違う話なので別の作品だと思ってください。主人公あずみはチート級の素早さと判断力で、絶対に真剣勝負で刀傷を負うことはありません。
その美しく白い肌たるや、単行本だともうたまらんですよ。黒いベルベットマント、紺色の短い着物から覗く白い足は細い可愛いとかいうレベルの話ではなく、陶器や無機質を感じさせるほど美しく流麗な曲線美を描きます。モノクロなのに血しぶきが鮮やかな赤に見えるほど。(そりゃないか)あずみは幼少の頃から鍛えている体で戦国の世を戦い続けていきますが、成長もしっかりしていっていて、環境に合わせた戦い方を瞬時に判断・敵を即斬。その姿も美しく、多勢に無勢でも絶対に負けないのでそういったシーンは見応えがあると思います。作画も無駄な線などの書き込みが少ないので見やすいです。刀の流れや素早い動作の表現が綺麗な絵です。さらに巻数が進むごとに見目麗しく強く、そして孤独に成長していきます。そこは飛猿がいてくれて本当よかったと思う。爺のもとで一緒に育った仲間たちとは違う、また別方向からあずみを支える気の回るいいヤツです。男女のあれこれはないけど一生のバディみたいな。同時に心の成長も著しく、己の気持ちと使命に対し苦悩する日々...また道中良き仲間と出会い別れ様々な事を知り、仲良くなり時には恋に落ち、そしてその人たちを自分のせいで危険に晒してしまうのではという恐怖。この歳になり読むと涙が出てきます..
野伏や極悪人をぶった斬って全滅させたりと勧善懲悪的なお話もあります。私は左近の話が一番好きです。あずみが一番好きだったのは左近なんじゃないかとも思っています..ラストが中途半端という声が多いですが、あずみの中のしこりが一つ取れて区切りがつけられているいい表情だと思います。全員をわざとらしく登場(天海僧は出てきてなんか言ってますが。。)させるなどがなく、逆に清々しいラストで私は好きです。
心がギリギリのあずみの心理描写でけっこうえぐってくる、また理不尽な辱めやキツイ拷問などのシーンが多数ある作品(時代背景がそうだから)なので、そういったお話が苦手な方は厳しいかもしれません。ですが、好き嫌いせずにぜひ一度読んで見てほしいです。あずみを語るには文字数g