男女比1:5の世界でも普通に生きられると思った? ~激重感情な彼女たちが無自覚男子に翻弄されたら~
三藤孝太郎/桃季憂/jimmy
このレビューはネタバレを含みます▼
転生もの(転生ではなく転移と本編で説明されていますが)によくある"チート"の設定に無理がなく読みやすい。主人公の持つフラットな感性、男女比が等倍の実世界では当然のように養われる"人として対等に向き合う感性"が、男女比1:5の世界においては、常に選ばれる立場にあり不満を感じている女性の心を容易く掴んでしまう"チート"のように機能し、それ自体が主人公の無自覚さも自然に見せることに成功していて、無理やりこじつけて説明する必要もないため、全体がすっきりしておりストーリーを追いやすい。
個人的には主人公のモノローグがあまりにモラルが無さすぎる漫画を読むのが辛いので、「世界中の"良"をつめ込んだ」ような主人公でありがたい。加えて、優しいだけでなく看過できない場面では激昂したりなど単に感情が希薄なだけでもない。ヒロインたちのモノローグにはドス黒い感情があらわになるも、本人達のモラルの無さというよりは、初めて出会う特異な事態を前に自身で感情を制御できていないという印象のため、嫌悪感はほぼなく、主人公との対比が面白い。
さらに今後の展開に期待するならば、転移後の世界の"初心者"である主人公が、転移後の世界の"習熟者"とも言える世の男性たちの"女性達への悪態"の背景にある処世術や自己防衛術のようなものに、いつどのようなきっかけを重ねて気づき、登場人物たちの関係性がどのように変わっていくかを、それぞれの目線で生々しく描いてくださると嬉しいです。
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