ゆりさん

複数プレイ、ケモノ系、の２大苦手要素が入っていたので、表紙だけで敬遠してました。けど、実際に読んでみるとええやん、これ。

まず、作者さんの文章が上手です。同じラブシーンを描くにしても表現に工夫があり、読んでいてうんざりする単調さ、露骨さはありません。一人一人とのシーンの書き分けがうまく、余韻があります。上巻はラブシーン多めだけど、下巻はほぼ普通の小説ですね。主人公の変化に焦点が当てられているので、ラブシーン目当てなら上巻だけでもいいかも。下巻は読むとすっきりするので、物語を追うならおすすめです。

ケモノ要素ですが、下巻の後半までそれらしい描写はなし、物語がわりとしっかりしてるので、一妻多夫も納得。「うわ...」という抵抗感なく読めました。まあでも、人によるとは思います。

そして、ノアいいですよ、ノア！３人の中で誰が一番人気なのか気になる...。私はノアが一推しです。

食わず嫌いの分野でしたが、読んでみると意外にいけました。手に取る価値ありだと思います。

深海魚さんの作品が好きで追いかけてますが、このシリーズが一番面白いです。よく出来てる！登場人物の設定もいいですね。堅物の美人とチャラい不真面目男、というありがちな設定ですが、それをありがちな展開にしないのがこの作家さんのすごいところ。今一番続きが楽しみな作品です。

タイトルは固いし絵柄もそんなに好みじゃないな、と思ってたんですが、読み始めたらノンストップでした。まず、主な登場人物の4人の描写がとてもいい。4人とも自分なりの葛藤を抱えたり、友だちに手を差し伸べたり、人を好きになったりしながら、少しずつ変わっていく。そのプロセスがとても丁寧に描かれてます。「中学生ってこういう理不尽なことあったよな」と追体験する場面も多く、かといっていやな読後感にはならない。基本的にみんないい子で、軽いタッチなのでぐいぐい読めます。心の底からあったかくなる場面が随所にあって、何度も読み返しています。そしてたまに泣いてます。

中華風の衣装をまとう登場人物が何とも美しいんですが、一番の魅力はキャラクターの造形にあります。主人公の不屈の根性と知性、豪快さに元気がもらえます。幸せになるのは結局その人の心ひとつだなーと思わせてくれる作品。