このレビューはネタバレを含みます▼
同作者のfinal phaseと酷似するところが多いですが、両作とも、コロナ禍の今色々な方に読んでいただきたい内容だと思います。
潤月ちゃん、高校生にしてはしっかりとした芯のある女の子ですが、母親に素直になれないまま永遠に会えなくなってしまった辛さ、それ故に最後に母親のお弁当を危険を承知で食べるという彼女の想い、それに寄り添う玉木医師、と登場人物の心理描写がとても繊細であることが引き込まれます。
新型コロナは、新型ペストのような致死率100%というわけではないかもしれない。けれど、今も変異型が続々と出現している中で、新型ペストのような猛威をふるう変異型やその他の病原体が発生するかもしれない、という気持ちで、各自の努力が必要なのではないかと思います。
ひとりではできることが限られていることを自覚しながらも、あきらめずにやれることを精一杯する、後悔しないために。
カルロスのような悪い患者も時にはいますし、愛嬌だけで済まされることではないのかもしれませんが、そういう考えをする人も存在するということ、では自分も‥ではなくそうしない・ならないための方法を各自で考えて欲しい、そういう意図で描かれたと私は解釈しています。
近い未来、玉木先生にとっての原神先生のように、大切な人を思いがけないタイミングで失ってしまうかもしれない。逆かもしれない。それでも、またマスクなしで感染を恐れずに家族や友人達と集まれる日が来ることを祈って生きていくことの大切さに改めて気付かせてくれます。
原神先生の影響でカミュも読ませていただきました。
ちなみに気になったのは‥インハンドに出てくる潤月さんは、リウーの潤月ちゃんのその後なのかしら?
コウタくんとのその後も少し気になります。
画はあまり好きなタッチではないのですが、朱戸先生の作品は今後も読み続けていきたいと思います。