このレビューはネタバレを含みます▼
腐女子特有の他人に対しての僻みや優越感が描かれた作品です。
確かに、100歩譲って、そういう側面もあるかもしれないなと思いました。人間ですから、自分の持っていないものを持っている人間に対して嫉妬する心はあるでしょうし、自分より劣っていると思う人間を見て「同じだと思われたくない」と思う気持ちもあるかもしれません。
ただ、あたかも全ての腐女子が常に悪意を持って他人を評しているかのような書き方をしていることが、この作品の大きな問題であると思います。そうでない腐女子から反感を持たれることは必至でしょうし、現時点でSNSの評判等を見る限りでも、「私の知っている腐女子はこうではない」と思っている人間がかなりの多数いることが伺えます。
本編に、作者本人が、パンピーのグループにも腐女子のグループにも馴染めなかったという描写があります。そのことを考えると、本当に本作の作者は腐女子の大多数と言えるのでしょうか。「こういう人間もいる」という趣旨の作品であれば問題ないのですが、「こういう人間が多い」という趣旨で作品を出していることに、疑問を感じます。
また、腐女子が同性に対して恋愛感情を抱くことに「自称バイセクシャル」「ファッションレズ」との表現を使用していることに憤りを覚えました。意見は理解します。が、公に出す作品として、差別表現を公然と、あたかも大多数の意見であるかのように使用することは果たして適切でしょうか。
本作を読む方には、これが腐女子の大意ではなく、一個人の意見であるということを踏まえていただければと思います。その前提であれば、この作品はひとつのブラックユーモアとして捉えていただいても問題ないと思います。100歩譲って、ではありますが。