YYさん

ブームに乗った安易なクライミング漫画にしか見えなかった。取り柄のなさを競技に転化できる天才肌の主人公だの、度を越した選民思想のスパルタ部活指導者だの、もう何度見たことか。クライミング自体に魅力があるのだからそれを丹念に描けばいいものを、なぜわざわざ変にキャラを屈折させる必要があるのか、理解に苦しむ。

破壊を司る神様のマグ＝メヌエクことマグちゃんと、一人暮らしの中学生流々ちゃんのちょっと変わった生活をほのぼの描いたバディものギャグ漫画。
なんと言ってもキャラ造形と話の組立て方が秀逸。マグちゃんは一つ目のメンダコじみた風貌で時代がかった喋り方をする奇妙な生き物なのに、愛嬌があって不思議と可愛いし、破壊神のくせに人の頼みは断らない懐の深さと、子供っぽいプライドの高さが同居した人間くさい性格の持ち主。流々ちゃんも流行りの可愛い絵柄ではないけど、ときに男らしく、ときにマグちゃんたち邪神の保護者的な顔を見せて、すごく人間的な魅力に溢れている。
姿かたちも生まれ育ちもまったく違う存在が心を通わせていくテーマを、仰々しくなくさわやかに描く佳作。最近重苦しい展開が目立つジャンプ紙面にあって、清涼剤みたいな存在にもなりつつあるとか。