妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~(分冊版)
橘ちなつ
このレビューはネタバレを含みます▼
無料期間を活用して、最後まで拝読しました。
とても複雑な気持ちになり、私の拙い語彙力では感じたことを十分に言葉にできそうにありませんが、どうしても作者様に想いをお伝えしたくレビューを書かせていただきます。
作品の内容から、読者によっては不快感や否定的なご意見を持たれる可能性があることを、十分ご承知のうえでのご出版だったと拝察いたします。それにもかかわらず、あえて世に送り出された勇気あるご決断に、深く敬意を表します。
本作では、精神疾患の患者がどのような思考や感情を抱くのかが細やかに描かれており、大変学びがありました。外部からの情報や刺激による外的な恐怖、自分が自分でなくなるかのような内的な恐怖、孤独感、終わりが見えない治療、回復したと思えば急激に悪化する落胆感➖その全てが辛く、胸が締め付けられる思いでした。
特に、病名がわからないことへの恐怖は、想像を絶するものだと思います。その中で、ご自身で生理周期に伴う精神の起伏に気付かれたことは、とてもすばらしい洞察力だと感じました。
また、別の視点ではありますが、私自身精神疾患について十分に理解しているとは言えず、もし身近な人が患ったとき、どのように支えるべきか深く考えさせられました。(まだ答えは見つかっていませんが)
この病名には初めて知りました。妊娠、出産、産後という身体的変化は人それぞれと認識しているにも関わらず、ホルモンバランスや精神の部分は見落とされている現実がありますね。
さらに「母だから」「ちゃんとしなければ」といった概念は、人を奮い立たせる一方で時に強く追い込んでしまう-そのことを改めて感じました。こうした場面でも使える、もっと柔らかく支えになるような言葉を見つけられればなと思います。
取り留めのない長文失礼しました。