このレビューはネタバレを含みます▼
なんと表現したらよいのか、言葉にできないほど素晴らしい作品です。魏嬰の善良さを最後まで信じぬき、例え大勢の人が悪と言おうと側で守ることを決意した藍湛。魏嬰を失った13年間は、孤独と後悔に心が押しつぶされそうになったことだろう。魏嬰との再会は、そんな状況でも、諦めず待ち続けた藍湛の血と涙の賜物である。私も魏嬰は誰よりも優しいと思う。魏嬰は、人を助けるとき、自分を犠牲にして助ける。玄武洞のときも、温家の件も、そして、江澄のことも。人を助けることに自身の犠牲を厭わない姿に涙が出そうになる。なんでもないと言った顔で、まるで、それが当たり前のように助けるから、全然平気なんだと思わせるけど、実は裏ではたくさん苦しんでいたと思う。金担の真実を知った後、気絶している魏嬰を抱え、船に乗る場面、藍湛が温寧にその時の状況を聞いてる時、言葉は少なかったが、胸の中はとても穏やかとは言えなかっただろう。邪道だと非難されても、頑なに手放さず、突き進み続けた背景には、言葉にできない程の苦しみがあったのだ。私も知った時は驚いたし、ここでは魏嬰の優しさだけでなく、本当の意味での強さを感じた。優しい人は、人の痛みが分かる人。強い人は、自分の弱さを見せない人。魏嬰はまさにそんな人だと思う。「ありがとう」という言葉は、よく耳にする言葉で、感謝を示す時に使われる。つまり、「ありがとう」とは決して気分を害すような言葉ではない。しかし、魔道祖師の中、藍湛と魏嬰の中では、「ありがとう」はプラスの意味で捉えられていない。むしろ、藍湛にとっては、魏嬰との仲を引き裂く、呪いのような言葉であっただろう。「ありがとう」が呪いの言葉ってどうゆうこと?何も知らない人はそう思うかもしれない。でも、読んでいくと確かにと納得できて、でも、それだけではなく、その言葉は二人の間には必要ない、つまり、それほど深い仲になれた証なのだ。と、ここまで自分が感じたことをつらつら書いてきましたが、この作品は私が出会った全ての作品の中でナンバーワンです。二人だけの物語ではないというところもいいです。あくまで、二人を中心としたお話。二人を中心として、様々な人の思いや思惑が混ざりあった作品です。感情のドンパチです。最後に、私はこの作品を心から愛しています。そして、この作品に出会えて本当に幸せです。