このレビューはネタバレを含みます▼
SNSで話題沸騰してたので無料分だけつまみ食いするつもりが、いっきに全話購入してしまいました。
何より良いのは、同意のない性行為が暴行として描写されていることです。
第1部に出てくる性描写はイチャラブ成分0、第2部ではモブレがあるので、苦手な人はやめておくべきです。でもそう言い切れるくらい、誤魔化しのない暴力描写で逆に好感が持てました。
私は「これ実質レ○プだよね」という行為が、当たり前のようにプレイとして描かれるBLが苦手です。たとえどんなスーパー攻め様が相手だったとしても違和感を覚えてしまいます。
しかしこの作品は、本意でない行為を強いられている時には必ず根底に恐怖と拒絶、痛みがあり、暴力を肯定しない表現だと感じます。「取ってつけたエロ場面」ではなく「(あくまで)物語の一部」として読むことができました。
また、総受けであるセト自身も無条件に愛されるのではなく、むしろ犯した罪が美化されることなく罪として存在し、憎しみや嫌悪も容赦なくぶつけられます。
あらゆる負の要素が、同情や愛情でご都合主義的に有耶無耶にされないので好きです。
話はヘビーですが、「甘い要素なんて、広大な砂漠にぽつんと存在するオアシスの一滴くらいでええねん」という人にはとてもおすすめです。逆に、手っ取り早くキュンやスケベを求めてる人には不向きです。低評価レビューにもある通り挫折すると思います。固定CPにひたすらスポットが当たる日本の商業BLとは区別し、BL要素を含む愛憎と確執を描いた群像劇として読み進めるとしっくりくるかもしれません。