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今月(11月1日~11月30日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • 妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~

    橘ちなつ

    この作品の真価
    2025年10月29日
    この作品を読むか迷っている方へ。
    「全巻読め」とは言いません。
    まずは2巻試し読み冒頭1ページと、1巻〜6巻のあらすじを読んでみてください。

    そこで違和感がない方にはこのレビューは不要です。どうぞ安心してお楽しみください。

    しかし、少しでも違和感を覚えた方には、本作を読むこと自体が精神的・思想的負担となる可能性があります。以下がその論拠です。

    2巻試し読み1ページにて、ヒロイン・橘千夏は自身を「世間知らずで頑固」としつつも、「『普通』に適合している」ことを過剰に理想化して語ります。その認識は2010年代の30代女性として、また医療的リアリティとも整合しません。

    あらすじも重要です。これは出版社が提示する作品の公式な要約であり、作品構造の縮図です。
    全巻を通して、あらすじにはヒロイン以外の視点や検証もなく、ヒロインの確信だけが真実として作品世界を支配しています。
    そして、「作者の実体験をもとにした」という文言は免罪符とはならず、医療不信を助長する危険があります。
    さらに「産褥期精神病」とサブタイトルにあるものの、あらすじでは医師の診断としては確定されません。医療的裏付けを欠いたまま、権威性だけを利用する「責任回避型リアル系フィクション」である可能性は否めません。

    以上の点で違和感を覚えた方は、本作の読書体験そのものが害悪(リーディング・ハーム)となるかもしれません。

    私は本作の存在を否定はしません。しかし、表現の自由がある限り、批評の自由もあるはずです。
    私は本作を構造への違和感から批評し、そして精神疾患当事者として深く、深く軽蔑します。

    最後に、構造批評的には極めて興味深い教材として、星5をつけます。
    ただし、本作と同じ版元であるぶんか社『子宮恋愛』ラインを踏襲し、今後のメディア展開(特にドラマ化)を狙うなら、医師学会や世論の反発は避けられないでしょう。
    精神医療と母性表現を扱う以上、創作物であっても社会的責任は生じると考えます。今後の動向を注視します。
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